信用金庫はSNSをどう活用すべきか?目的・運用事例・運用方法を徹底解説

近年、金融機関にとってSNSは若年層や地域住民との重要な接点になりつつあります。メガバンクだけでなく、地域密着型の信用金庫でも「SNSを活用してみよう」という機運が高まっています。しかし、「具体的に何を発信すればいいのか」「銀行とはどう違う運用になるのか」「社内体制やコンプライアンス上の不安も…」と悩んでいる信用金庫の担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、金融機関のSNS運用支援を手がける専門家である株式会社ファイマケ代表・苛原 寛が、信用金庫におけるSNS活用の目的や期待できる効果、実際の運用事例、成功させるためのポイントまで徹底解説します。信用金庫ならではの強みを活かしたSNS戦略を理解し、明日からの運用改善にぜひお役立てください。
- 信用金庫の本部・広報担当になったが、SNS運用をどこから始めれば良いか分からない方
- 信用金庫のSNSを運用しているものの、フォロワーや反応が伸び悩み効果を感じられていない方
- 上司から「他の信用金庫のSNS事例を調べて」と言われ、成功・失敗例を把握したい方
- 信用金庫のSNS運用で成果を出すポイントや、内製・外注の判断基準について知りたい方
信用金庫がSNSを活用するべき理由と銀行との活用方法の違い
まずは、信用金庫がSNSを活用するべき理由と銀行との活用方法の違いについて整理します。
なぜ今、信用金庫にSNSが求められているのか
人口減少や高齢化が進む中、信用金庫においても若年層や地域の人々との新たな接点づくりが課題となっています。総務省の調査によれば、2022年時点で日本のSNS利用者数は1億人を超えており、SNSは日常生活からビジネスまで欠かせないコミュニケーション手段に成長しました。
こうした背景から、「若年層との取引強化」や「取引先企業の本業支援」を目的にSNSアカウントを開設する信用金庫が増えています。SNSはチラシやホームページとは異なり、タイムリーかつ双方向に情報を届けられるため、地域の小さな話題や金融商品以外の情報も発信しやすいのが特徴です。
信金中央金庫の調査によると、2024年5月時点でSNSを活用している信用金庫は125金庫に達しています。これは全金庫の約半数です。また、SNSの種類ではLINEが70金庫、Instagramが63金庫と多くなっています。
ファイマケ代表 苛原寛Instagramの活用でご相談をいただくケースが多いです!
銀行・メガバンクのSNS活用との違い
信用金庫のSNS活用は、都市銀行やメガバンクのそれとは目的やアプローチが異なる点に注意が必要です。メガバンクは全国規模のブランド力を背景に、芸能人やインフルエンサーを起用して大量の広告費を投下し、SNSでのコンテンツ制作や商品P、や認知度拡大を図るケースが多いです。
一方、信用金庫は特定地域の中小企業や住民の相互扶助を目的とした協同組織であり、SNSでも「地域との関係構築」や「親近感の醸成」が重視されます。例えば、自地域の伝統行事や地元店の紹介、職員の日常などローカルで身近な話題を発信することで、「地域に根ざした金融機関」としての存在感を高める傾向があります。
また、信用金庫は営利企業である銀行とは異なり、利益追求よりも地域貢献や会員の繁栄が目的の組織です。そのためSNS運用でも商品の直接売り込みより、地域への情報提供や双方向コミュニケーションを重視する点が特徴です。結果として、銀行のSNSが全国の幅広いユーザーに向けた「マーケティング色」の強い発信になりがちな一方、信用金庫のSNSは地域密着型の「コミュニティ運営」に近いニュアンスとなります。
例えば投稿へのコメントに対して丁寧に返信したり、地域イベントの様子をライブで共有したりといった細やかな対応は、地元に根差す信用金庫ならではのSNS活用法と言えるでしょう。
信用金庫のSNS活用で期待できる効果
信用金庫がSNSを上手に活用すると、次のような効果が期待できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。


若年層を中心とした新規顧客との接点創出
若年層は日常的にSNSを情報源として利用しています。店舗に足を運ばなくても、SNS上で信用金庫の存在や活動を知ってもらうことで、まだ口座を持っていない大学生や若手社会人との早期接点をつくることができます。
従来、金融機関と言えば商品(預金や融資)の宣伝になりがちでした。しかしSNSでは商品を押し出さずとも、日々の投稿を通じて「◯◯信用金庫」という存在そのものを地域の人に認知してもらう効果があります。「近所にこんな信用金庫があるんだ」「地元の情報発信をしていて親近感が持てる」と思ってもらえれば、いざという時に相談先として頭に浮かぶきっかけになります。
特に若者は銀行より信用金庫への馴染みが薄い場合も多いため、SNSで存在認知を図る意義は大きいです。
地域住民との継続的な関係構築
SNSで地元の祭りや商店街のセール情報、地域ニュースなどを積極的に発信すれば、フォロワーである地域住民の日常タイムラインに信用金庫が継続的に登場することになります。
投稿を見る頻度が増えれば、「いつも地元の情報を教えてくれる」「地域のことを応援してくれる」というポジティブな印象が蓄積され、顧客とのエンゲージメント(つながり)が深まります。これはATMや店頭での張り紙だけでは得られない、SNSならではの接点強化と言えるでしょう。
また、SNSは24時間閲覧できるため、営業時間外やまだ来店していない層ともコミュニケーションできます。コメント欄で地域の話題について利用者とやり取りしたり、アンケート機能で意見を募ったりすることで、店舗の外でも対話が続く関係を築けます。信用金庫は「対面のきめ細やかさ」が強みですが、SNS上でも親身なコミュニケーションを見せることで、「困ったときに相談しやすい存在」として地域住民からの信頼感アップにつながります。
採用・ブランディングへの波及効果
信用金庫の公式SNSに若手職員が登場したり、職員の日常や社内イベントの様子が紹介されたりすると、「職員の人柄」や「職場の雰囲気」が可視化されます。
これは新卒採用の面でも効果的です。就職活動中の学生にとって、信用金庫の仕事はイメージが湧きにくい部分もありますが、SNSで明るく生き生きと働く職員の姿を発信することで「こんな先輩と働いてみたい」「地域の役に立つやりがいがありそう」と感じてもらえます。実際に、城南信用金庫では公式Instagramで若手職員のエピソードを紹介し、採用ブランディングに活用しています。
金融機関、とりわけ信用金庫は安全堅実ではあるものの、若い世代には「堅苦しい」「古めかしい」という印象を持たれがちです。SNSでカジュアルな投稿や親しみやすいキャラクター投稿などを行うことで、そうしたイメージを和らげる効果があります。例えば、奈良信用金庫は公式キャラクター「ならっきー」によるゆるいコメント投稿が人気を博し、ファンミーティングが開かれるほどの盛り上がりを見せました。このようにSNS上でユーモアや温かみを発信することで、「親近感のある金融機関」というブランディングにつながります。



就職活動においてもSNSを利用して会社の情報を収集する若年層は意外と多いです!
信用金庫のSNS活用事例5選
それでは、具体的に信用金庫がどのようにSNSを活用しているのか、特徴的な事例を5つ紹介します。自社でのSNS運用の参考にしてみてください。
東濃信用金庫:Instagramで地域イベント・行事を中心に発信
東濃信用金庫(岐阜県)は、Instagramを活用して地元のイベント情報や観光スポットなどを積極的に発信しています。特徴的なのは、他アカウントとのコラボ投稿を活用している点です。
例えば、岐阜県の東濃地域と鳥取県の米子地域という離れた土地同士で、「しんきん推し旅」という共同企画を2025年4月から開始し、互いの地域の魅力を紹介し合う取り組みを行いました。東濃信金と米子信金の公式Instagramから共同投稿を配信し、岐阜・愛知エリアと山陰地方それぞれの観光スポットを写真や動画で紹介することで、双方の地域のファンを増やし観光誘致につなげる狙いです。
また、東濃信用金庫は他にも地元自治体や観光協会、さらには近隣の地方銀行などともコラボ投稿を行っています。こうしたクロスコラボにより、異なるフォロワー層にリーチできるため、フォロワー数の拡大と投稿エンゲージメント向上に貢献しています。東濃信用金庫のInstagramは職員自身が「とうしんです。」というフランクな口調で発信するスタイルも取り入れており、地域のフォロワーから親しまれるアカウントとなっています。
東濃信用金庫は定期的に地域行事や季節の話題を発信し続けており、「このアカウントを見れば地元の最新情報がわかる」というポジションを確立しています。他の信用金庫や自治体等とのネットワークを活かしてSNS運用している点は、信用金庫ならではの地域連携をSNS上で体現した好例と言えるでしょう。
城南信用金庫:Instagramで若手職員が登場し職場の雰囲気を伝える信用金庫
城南信用金庫(東京都)は、公式Instagramアカウント「城南じもと便り(@johnanshinkin)」にて、職員が主役のコンテンツ発信に注力しています。地域の人気スポット紹介なども行っていますが、特に目を引くのが若手職員の紹介や社員出演の動画です。例えば、新入職員が登場して「なぜ信用金庫に入ったのか」「現在の業務とやりがい」といったエピソードを語る投稿や、ベテラン職員が語るお客様との心温まるエピソードなど、採用PRを意識したコンテンツが定期的に投稿されています。
また、城南信用金庫はInstagramでショートドラマ形式の動画コンテンツにも挑戦しています。実際に脚本家を起用して制作した全3話のオリジナル短編ドラマを投稿し、城南信用金庫のアカウント上で公開しました。定期預金の訴求を、ショートドラマでおこなった画期的な取り組みです。
本来堅くなりがちな商品案内も、発信方法を変えることでユーザーの関心を惹きつけています。ショートドラマは制作予算が一定かかりますが、新たな取り組みとしてやってみてもいいかもしれません。



ショートドラマは最近流行していて、多くの金融機関が投稿しています!
城北信用金庫:YouTubeで地元のお店や商品をPR
城北信用金庫は2022年11月に公式YouTubeチャンネル「JoynTV!」を開設し、地域の中小企業の商品紹介動画を配信しています。30~40代の女性を主なターゲットに毎週水曜21時に約7分の動画を公開しています。
絶品グルメやスイーツ、下町発のおしゃれアイテムなど幅広いジャンルの商品を取り上げ、MCのフリーアナウンサー山部朱里氏が実際に食べたり使ったりして、消費者目線のリアルな感想を伝える構成となっています。
直近1年の投稿状況を見ると、開設以来配信を途切れさせることなく継続しており、2026年1月時点でチャンネル登録者数は2,000人を突破しています。この時点で公開された動画は275本にのぼり、約70社の取引先企業の商品を紹介しています。動画の概要欄には各商品の購入先リンクを掲載し、視聴者がそのままECサイトで商品を購入できる仕組みです。
金融機関自らが動画メディアを運営し地域企業の商品PRを支援するという先進的な取り組みにより、販路拡大や地域活性化への貢献が期待できます。
毎週決まった時間に更新を続けている点は視聴者の習慣化につながり、着実に視聴者数・登録者数を増やしている点が評価できます(開始から約1年半で登録者1,000人を達成)。また、プロのアナウンサーが出演し商品の魅力を臨場感たっぷりに伝えているため動画の完成度が高く、視聴者にとって分かりやすく魅力的な内容となっています。
実際に動画をきっかけに商談や販路拡大につながったという声も事業者から上がっており、取引先企業にとって実利のある支援策となっています。金融機関の信用力と動画プラットフォームを組み合わせた情報発信は他に例が少なく、地域密着型金融機関の新たなブランディングにも寄与している点が良いところです。
奈良信用金庫:Xでの「ならっきー」を押し出した投稿
奈良信用金庫では広報キャラクター「ならっきー」を前面に押し出したX(旧Twitter)公式アカウントを運用しており、ゆるい口調で日常の出来事や金庫の情報を発信しています。
投稿内容は、マスコットのぬいぐるみ「ならっきー」があちこちに登場する写真や、イベント紹介、職員とのやりとり風のツイートなど親しみやすいものが中心です。
きんようび🎶きんようび🎶 pic.twitter.com/i8NQBXEKmj
— 奈良信用金庫 公式【ならっきー】🦌 (@naluckyofficial) January 16, 2026
頻度も比較的高く、直近1年でも定期的に投稿を継続することでフォロワーとのコミュニケーションを図っています。その結果、2023年時点でフォロワー数は3,600人を超えており、地方の信用金庫のSNSアカウントとしては順調にファン層を拡大してきました。
ゆるキャラ「ならっきー」を活用した親しみやすい発信により、金融機関としての堅いイメージを和らげ地域の人々に身近に感じてもらえる点が大きな強みです。実際にSNS上でキャラクターへの愛着が育まれ、「ならっきーに会いたい」というファンの声から2023年11月に初のファンミーティングが開催されるなど、継続的な運用を通じて利用者とのつながりを深めています。
フォロワーとの気さくなやりとりや、写真映えするぬいぐるみ写真の投稿によってエンゲージメントも高く、投稿一つひとつが地域とのコミュニケーションの場となっている点が良いところです。また、XrだけでなくInstagramでも日常の様子を発信し、LINEではユーザーからの問い合わせ対応も行うなど、SNS全体を通じてキャラクターを軸にした統一感のある情報発信戦略を取っている点も評価できます。
京都信用金庫:公式LINEでのお役立ち情報とイベント情報、キャンペーンの発信
京都信用金庫の公式LINEアカウントは、新商品やキャンペーンの案内に留まらず、暮らしに役立つ知識や地域のイベント情報も定期的に発信するなど、多様なコンテンツ配信に力を入れています。
一斉送信される情報は利用者の日常生活に有用な内容が多く、単なる宣伝ではなく地域密着型の情報提供ツールとして機能している点が特徴です。、従来の金融商品案内だけでは接点を持ちにくかった層ともコミュニケーションを図る新たな顧客接点となっています。中でも注目すべきは、公式LINE登録者向けの「京信コミュニティクーポン」の展開です。


このクーポンは地域加盟店共通の割引サービスで、飲食店や雑貨店、娯楽施設など 230以上の地元店舗 で会計割引やドリンクサービス等の特典を受けられる仕組みになっています。本企画は2022年11月に開始され、当初約177店舗の加盟店でスタートしましたが、その後順調に拡大し直近では京都・滋賀・大阪にわたる263店舗(2023年10月末時点)が参加しています。利用者は公式LINE上のメニューから地域のお店を検索し、提示画面を見せるだけで特典を受けられるため手軽で、開始以来多くのユーザーに利用されています。
公式LINEの登録者数は直近で1万7,000人以上にのぼっており、そうした取り組みが多くのユーザーに支持されていることがうかがえます。継続的な情報配信とユーザーメリットのあるサービス提供によって、京都信用金庫は地域コミュニティに溶け込んだ存在感を示している点が良いところです。
信用金庫のSNS好事例の共通点とは
以上5つの事例から、信用金庫のSNS運用がうまく軌道に乗っているケースには共通するポイントが見えてきます。それは次の3点です。
投稿テーマや軸が明確
各信用金庫とも、「地域の魅力発信」「若手職員紹介」「金融豆知識」などアカウントの投稿テーマや軸がはっきりしていることが分かります。いくつかの発信テーマを決めて、それにそった投稿をしていくことでアカウントに一貫性が出るだけでなく、企画を考える工数を抑えることが可能です。
闇雲にあれもこれもと発信するのではなく、「うちの信金はこれを発信していこう」というコンセプトが定まっているため、フォロワーにも情報が届きやすく、継続した発信もしやすくなっています。例えば旭川信金なら一貫して地域のお店紹介、奈良信金ならキャラクターによる発信、というように軸がブレない運用がファンの定着を促しています。
キャラクターや人を軸に発信
SNSは公式っぽい堅い投稿は好かれません。プレスリリースやお知らせのような投稿がバズって拡散されるイメージはないのではないでしょうか。
そのため、キャラクターや職員を登場させることで、「可愛い」、「人として信頼できて応援したくなる」と思ってもらい、ファン化を進めることが重要です。
すでにキャラクターがいる場合は、ぜひSNSで活用しましょう。また、出演可能な職員がいる場合は積極的に出演をオファーしてみてください。



キャラクターや人を全く出さないで、アカウントを伸ばすのはかなり難易度が高いです。
売り込みをしていない
いいねやコメントが多くつく信用金庫のSNSは、金融商品の押し売り的な投稿はほとんど見られません。代わりに、地域のお店紹介やイベント情報、キャラクターのゆるい投稿、職員の日常など、ユーザーが純粋に「見たい」と思える情報提供に徹しています。「まずファンを増やし、信頼を得る」ことを優先し、商品宣伝は時折挟む程度に留めているのです。
このスタンスが結果的にフォロワーの支持を集め、ひいては信用金庫のイメージ向上や顧客獲得につながっています。
信用金庫がSNS運用でつまずきやすいポイント
信用金庫がSNS運用に取り組む際、つまずきがちなポイントも把握しておく必要があります。事前に課題を認識し対策しておけば、失敗するリスクを下げスムーズな運用が可能になります。ここでは、信用金庫によく見られる3つの悩みどころを挙げます。


投稿ネタが思いつかず更新が止まる
SNSを始めて最初の数ヶ月は意気込んで投稿していたものの、そのうち「ネタ切れ」で更新が滞ってしまう。これは多くのSNSで見られる現象です。毎日店舗で新しいニュースが起きるわけではないですし、金融商品も頻繁に出るものではありません。結果として「今日発信することがない」「マンネリ化してきた」という状態に陥り、投稿間隔が空いてしまうのです。
しかし、SNSは更新が止まるとフォロワーに悪印象を与えかねません。更新停止=その信用金庫の存在感低下にも直結します。そこで重要なのが投稿テーマをあらかじめ複数用意しておくことです。例えば「地域イベント情報」「金融ワンポイント」「職員紹介」などカテゴリーを決め、ネタが枯渇しにくい仕組みを作っておくと安心です。また、地域の四季折々の話題(桜、花火大会、紅葉、雪景色など)や、年間行事(節分、ハロウィン、クリスマス等)に絡めるのも定番ですが有効な手法です。「次は何を投稿しよう…」と毎回悩まずに済むよう、ネタのストックとカレンダー計画を持つことが継続の鍵となります。
担当者異動で運用が属人化する
信用金庫のSNS担当者は、若手職員が兼務で任されるケースも多く見られます。その結果、担当者の異動や退職があるとアカウント運用が止まってしまうリスクがあります。実際、「○○さんが担当していたけど支店異動になって更新できる人がいなくなった」「熱心にやっていた担当者が転職してしまい、その後が続かない」といった声も耳にします。SNS運用が特定の個人の熱意やスキルに依存していると、属人化による停滞が起こりがちです。
これに対しては、社内で運用コンセプトやノウハウを共有する仕組みが必要です。例えば、「月次で広報担当と営業店担当が集まって投稿案を出し合う場を設ける」「投稿マニュアルや過去の人気投稿データを蓄積し、新担当者への引き継ぎ資料とする」「複数名で投稿内容をチェック・分担する」などです。信用金庫の調査報告でも、継続的な提供体制の確保とコンセプトの庫内共有が課題として挙げられています。担当者1人に任せきりではなく、チームで運用する体制にすることで、人事異動があってもアカウントのトーンや頻度を維持しやすくなります。
コンプライアンス・炎上リスクへの過度な不安
金融機関にとってSNSは諸刃の剣と感じる面もあるでしょう。万一誤った情報を出してしまったり、不適切表現で炎上してしまったりすれば、信用低下につながります。そのため「クレームが来るのでは?」「コメント欄で批判されたらどう対処する?」と過度にリスクを恐れて踏み出せないケースもあります。実際には多くの信用金庫が基本的な投稿ルールを守りつつ運用しており、大きな炎上事例は多くありません。しかし慎重になるあまり「無難すぎる内容しか投稿できない」「内部承認に時間がかかりすぎて鮮度の落ちた情報しか出せない」となると、SNSのメリットが半減してしまいます。
この課題への対応策は、事前にガイドラインを整備することです。金融業界に適用される法令や協会の広告規制を再確認し、投稿チェック体制を明確にしておけば、担当者も安心して発信できます。また、万一SNS上でネガティブな反応があった場合の対処フロー(削除基準や謝罪対応など)も決めておくと良いでしょう。



ネガティブなコメントが数件寄せられただけでは炎上とは言わないので、線引きを明確にしておきましょう!
信用金庫SNSを成功させる運用設計の考え方
ここまで課題も含めて見てきましたが、では実際に信用金庫がSNS運用を成功させるためにはどう設計すればよいでしょうか?媒体選びからテーマ設定、KPIの考え方まで、運用設計のポイントを解説します。
信用金庫SNSに適した媒体の選び方
SNSと一口に言っても、Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、LINE、YouTube、TikTok…と様々なプラットフォームがあります。信用金庫が限られたリソースで運用するには、自金庫の目的とターゲットに適した媒体を選定することが重要です。
現在、信用金庫業界で特に導入が目立つのはLINEとInstagramです。LINE公式アカウントは既存顧客への情報発信(キャンペーン案内やセミナー案内など)に適しており、友だち追加してもらえばダイレクトにプッシュ通知できます。一方、Instagramは若年層ユーザーが多く、写真や動画で地域の魅力を訴求できるため、新規層へのアプローチに向いています。
実際、2024年5月時点で125の信用金庫が公式SNSを導入しており、その多くがInstagramを活用しています。
では他の媒体はどうでしょうか。X(旧Twitter)は拡散力と速報性が強みで、短文ですぐ情報を流せます。リアルタイム性が必要なシステム障害のお知らせや、気軽なつぶやき投稿には向いています。ただし文字中心で投稿が流れやすいため、コンテンツをじっくり見せるには不向きです。Facebookは30~50代以上のユーザーが多く、企業ページをフォローしているのは主に既存取引先やOBなどの場合が多いです。地域コミュニティグループと連携した情報発信など、使い方を工夫すれば有効ですが、新規若年層獲得の観点ではやや効果が限定的かもしれません。
TikTokは10~20代に爆発的な人気を誇る動画プラットフォームですが、エンタメ性の高いコンテンツが主流であり、金融機関としてどのように活用するかは慎重な検討が必要です。企業キャラクターがダンス動画に挑戦するなど話題性を狙うケースもあり得ますが、投稿内容がシビアに問われる金融機関にとってハードルは高めです。
YouTubeは長時間動画での訴求ができますが、コンテンツ制作に時間も予算も多くかかるため、まずはInstagramやXで実績を作り、その後に取り組むと良いでしょう。
結論として、最初の一歩としては多くの信用金庫が取り組んでいるInstagramをおすすめします。視覚的で地域ネタとの親和性が高く、若年層へのリーチも期待できます。その上で、Xで補完情報を流したり、LINEで既存顧客フォローしたりとマルチチャネル展開を検討すると効果的です。重要なのは、「自社がリーチしたい人はどこにいるか?」を考えることです。ターゲットや目的が明確でないまま媒体選定すると失敗します。運用開始前には最低限「誰に」「何のために」「何を提供するか」の3点を明確にしましょう。それが決まれば自ずと適切なSNS媒体も見えてきます。
KPIはフォロワー数だけで判断しない
SNS運用の成果を評価する指標(KPI)として真っ先に思い浮かぶのはフォロワー数ですが、信用金庫のSNSではフォロワー数だけに囚われない評価設計が必要です。
信用金庫は営業エリアが限られており、全国からフォロワーを集めてもビジネスに直結しにくいです。全国のフォロワー1万人を目指すより、その地域在住者1,000人にフォローされている方が意味があります。したがって単純な数の多寡では判断できません。
有名企業や有名人ではない信用金庫アカウントは、立ち上げ当初フォロワー数が数百にも満たないことが普通です。しかしそれ自体は想定内であり、そこで焦ってフォロープレゼントキャンペーンでフォロワーを買うような施策に走ると、質の低いフォロワーが増えてエンゲージメント率が下がる恐れもあります。大事なのは「質の高いつながり」をコツコツ増やすことです。
ではどんなKPIを設定すると良いでしょうか。一例として、リーチ数があります。リーチとは投稿が届いた人の数です。月間リーチ数や1投稿毎の平均リーチ数をKPIにすると良いでしょう。
また、エンゲージメント率(投稿あたりのいいねやコメントの割合)はフォロワー規模に関係なくアカウントの健全度を測れます。他にも、SNSをきっかけに資料請求や相談申し込みがあった件数、地元メディアに取り上げられた回数などもKPIとして有効です。
さらに定性的なKPIとして、「○ヶ月間途切れず運用できた」「投稿をきっかけに〇〇様から感謝の声が届いた」等もチームで共有すると良いでしょう。
信用金庫のSNSは内製と外注、どちらがよいか
SNS運用を始めるにあたり、「自前でやるべきか、それとも専門会社に依頼すべきか」という悩みが出てくることもあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自金庫の状況に応じて最適解を選ぶ必要があります。ここでは、内製と外注の比較および外注すべきケース・パートナー選びのポイントを解説します。
内製で対応する場合のメリット・デメリット
内製運用(自社職員で運用)のメリットは、何と言っても自社のことを一番よく理解している人が発信する点です。地域の細かな話題や自金庫の風土は、やはり職員自身が一番知っています。また、投稿へのレスポンスも自社内で完結するため、問い合わせコメントが来た際など迅速に対応できます。コスト面でも外注費用がかからないため、比較的低コストで始められます。
しかしデメリットとして、担当者のスキル・センスに依存する点が挙げられます。写真撮影や文章作成、デザイン編集・動画制作など、SNSには複合的なスキルが求められますが、金融畑一筋の職員にとっては初めて尽くしでハードルが高いかもしれません。また本業の合間に運用する場合、忙しさに追われ更新が滞るリスクもあります。属人化の問題も内製の場合起こりやすいです。
さらに、最新のSNSトレンドやアルゴリズム変化へのキャッチアップも必要です。例えばInstagramのリール(短尺動画)の活用が効果的だとか、Xのトレンド活用法など、日々進化するSNSの知見をアップデートしていくのは容易ではありません。内製の場合、このあたりの研究や勉強も自前で行う必要があります。
総じて、内製は「自前でやり切る」意思と、実務を担う人材のセンス・熱意が重要です。



「若い=SNSを運用できる」という訳ではないので、内製化は、担当者に企業アカウントの運用経験がある場合におすすめです!
外注を検討すべき信用金庫の特徴
次に、外注(SNS運用代行やコンサルティング会社に依頼)を検討すべきケースです。以下のような状況に当てはまる信用金庫は、外部のプロの力を借りることで大きく成果を伸ばせる可能性があります。
- 「SNS映え」するコンテンツ作成が苦手:写真や動画のクオリティに自信がない、投稿文が堅くなりすぎてしまう等、SNS特有の表現に課題がある場合。プロならではのクリエイティブで見栄えする投稿を実現できます。
- 運用リソースが足りない:担当者が他業務と兼務で忙しく、頻繁に投稿できない場合。代行会社に任せれば安定した頻度で投稿が継続されます。
- 社内に詳しい人がおらず戦略が描けない:何をどう発信すれば良いか方針が定まらない場合。専門会社は他社事例の知見も豊富なため、ターゲット設定からコンテンツ企画までトータルで提案してくれます。
- 経営層の理解を得にくい:上層部がSNSに消極的で、社内説得に時間がかかる場合。実績のある支援会社の説明や成功事例提示によって、社内合意が得やすくなることもあります。
例えば、長野県のある信用金庫ではInstagram運用を外注した結果、半年で若年層からの来店予約が前年比2.8倍に増加したという実例もあります。要は、「外部の力で補強すれば弱点が解消する部分」を多く抱えているかどうかが判断基準です。費用対効果も考慮しつつ、必要に応じて外注も前向きに検討しましょう。
金融機関SNSに強いパートナー選びのポイント
では実際に外注する場合、どのようなパートナーを選べばよいのでしょうか。金融業界のSNS運用は他業界と比べて注意点が多いため、外注先選びは慎重に行う必要があります。
まず重要なのは、金融業界での実績や知識があるかどうかです。銀行や信用金庫、保険会社など、金融分野での支援経験があるパートナーであれば、コンプライアンスや商品特性を踏まえた現実的な提案が期待できます。金融機関特有の事情を理解していない場合、運用が形骸化したり、意図しないリスクを生む可能性もあります。
次に、自社が求める支援範囲と外注先の得意領域が合っているかを確認しましょう。投稿制作のみを依頼したいのか、戦略設計から効果分析まで任せたいのかによって、適したパートナーは異なります。
また、金融機関のSNS運用では、セキュリティや炎上対策への意識も欠かせません。アカウント管理体制やトラブル発生時の対応方針が明確かどうかは、安心して任せられるかを見極めるうえで重要です。加えて、担当者とのコミュニケーションが円滑か、自社や地域の特性を理解しようとする姿勢があるかといった点も、長期的な運用では大きな差になります。
例えば、弊社ファイマケのように金融業界に特化したSNS支援会社であれば、こうした観点を踏まえた支援が可能です。外注先選びに迷った場合は、複数社に相談し、提案内容や対応姿勢を比較することで、自社に合ったパートナーを見極めやすくなるでしょう。
信用金庫のSNS運用に悩んだら、ファイマケへご相談ください!
ここまで、信用金庫におけるSNS活用の目的や期待できる効果、実際の運用事例、そして成果を出すための考え方を見てきました。「自分たちの金庫でも取り組んでみたい」「方向性は理解できたが、実務として回せるか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実際のSNS運用では、目的設計から投稿テーマの整理、企画立案、制作、効果検証まで、想像以上に多くの工程と判断が求められます。特に信用金庫の場合、地域性や組織文化、コンプライアンスへの配慮も必要となるため、担当者だけで抱え込むのは簡単ではありません。
株式会社ファイマケは、金融業界に特化したSNS・コンテンツ制作支援を行っている会社です。代表の苛原寛は金融業界の実務経験を持ち、金融機関ならではの制約や判断軸を理解したうえで、SNS運用の設計や改善をサポートしています。単なる投稿代行ではなく、「なぜやるのか」「何を伝えるのか」という設計段階から伴走できる点が特徴です。
信用金庫のSNS運用においては、必ずしも派手な成果や短期的な数字を追う必要はありません。大切なのは、自社の目的や地域性に合った形で、無理なく発信を続けられる体制をつくることです。そのために、社内だけで進めるべき部分と、外部の知見を活用した方がよい部分を整理することも一つの選択肢になります。
「今の運用が正しいのか確認したい」「これからSNSを始めるにあたり、考え方を整理したい」
そのような段階でも問題ありません。信用金庫のSNS運用についてお悩みの際は、ぜひ一度ファイマケまでご相談ください。貴金庫の状況や目的に合わせて、現実的で続けやすいSNS活用の方向性をご提案いたします。








