金融業界のコンテンツマーケティング最新トレンド5選【2025年版】

金融業界では、顧客接点が店頭や営業活動から、オウンドメディアやSNS・動画などのデジタルコンテンツへと大きく移行しています。
一方で「どの手法を選ぶべきか」「競合がどんな施策を行っているのか」が見えづらく、施策の方向性をつかみきれずに悩むご担当者も少なくありません。
そこで本記事では、金融業界に特化したSNS・Web運用支援を行う筆者(株式会社ファイマケ代表・苛原寛)が、
- 金融業界におけるコンテンツマーケティングの基本
- 2025年に押さえておきたい最新トレンド5選
- 実際の成功事例と運用のヒント
を体系立てて解説します。これから取り組む方も、すでに実践中で改善の糸口を探している方も、施策を前に進めるヒントが見つかるはずです。
- 銀行・証券・保険など金融機関でマーケティングや広報を担当している方
- 自社のオウンドメディアやSNS戦略をこれから立ち上げたい方
- 金融機関を支援する広告代理店やコンサルティング会社の方
- 成果につながる最新トレンドを効率的にキャッチアップしたい方
金融業界におけるコンテンツマーケティングとは?
金融業界のコンテンツマーケティングでは、住宅住宅ローンや保険のように契約金額が大きく比較検討に時間がかかる商品特性や、金融商品取引法や保険業法といった厳しい規制を踏まえた発信が求められます。ここでは、その特徴や具体的手法を解説します。
コンテンツマーケティングの基本的な役割
デザイナーさんへ:
以下の左右比較の図を入れてください
○左:「プッシュ型」=広告・一方的発信(テレビCMやバナー広告のアイコン)
○右:「プル型」=コンテンツマーケティング(記事・動画・SNSのアイコン)
※中央に矢印や仕切り線を入れ、「違い」を視覚で強調。
下部にそれぞれ効果を短く記載:
プッシュ型=「一方的な情報提供」
プル型=「長期的な関係構築」
コンテンツマーケティングは、広告のように企業が一方的に情報を提供する「プッシュ型」とは異なり、顧客の課題や関心に応える情報を発信する「プル型」の手法です。役立つ記事や動画を通じて信頼を得ることで、長期的な関係構築につながります。
特に金融業界では、サービスが生活や将来の安心に直結するため、信頼感や専門性が意思決定に大きく影響します。そのため、単なる商品訴求よりも「知識提供」や「課題解決型コンテンツ」を積み重ねることが不可欠です。
金融業界におけるコンテンツマーケティングの特徴と他業界との違い
金融業界のコンテンツマーケティングには、次のような特徴があります。
・検討期間の長さを前提とした情報提供が必要
・法規制やコンプライアンスが厳格
・専門性の高さ
金融商品は金額が大きく、返済・保障・運用といった期間も長期にわたるため、顧客は複数の情報源を比較しながら検討する傾向にあります。したがって、広告のように短期間で成果を狙うのではなく、記事・動画・ホワイトペーパーなどで段階的に情報を提供し、意思決定を支援することが重要です。
また、金融商品取引法や保険業法などの規制があるため、表現や訴求には細心の注意が必要です。正確でわかりやすい情報提供こそが、ブランド価値を守る鍵になります。
さらに、投資信託や保険・ローンは専門用語が多い分野です。図解や具体例を交えながら噛み砕いた解説を行うことで、顧客の「理解→信頼→検討」の流れを後押しできます。
金融業界のコンテンツマーケティング手法5選
金融業界でよく用いられる顧客獲得に向けたコンテンツマーケティングの手法は、次の5つです。
オウンドメディアの活用
オウンドメディアとは、企業が自社で保有するWebサイトやブログ、メールマガジンなどの総称です。自社の専門性や知見を記事やコラムとして発信し、SEO経由で継続的に見込み顧客を集客する手法です。検索行動からニーズを把握できるため、リード獲得の基盤になります。
ホワイトペーパーやeBookの提供
ホワイトペーパーは専門的で詳細な資料、eBookは初心者向けに噛み砕いた入門書のような資料です。いずれも「ダウンロード型コンテンツ」としてメールアドレスなどと交換で提供し、見込み顧客リストを獲得するのに役立ちます。
SNSの活用
X(旧Twitter)やInstagramなどを活用し、顧客との日常的な接点を作る手法です。速報性や拡散性を活かしてブランド認知を高められるだけでなく、コメントやシェアを通じて顧客との関係性を深めることができます。
YouTubeなど動画コンテンツの展開
複雑な金融商品や制度を、図解や実演を交えながらわかりやすく解説できるのが動画の強みです。特に金融業界では、理解度の向上が信頼感の向上に直結します。ショート動画での啓蒙から、セミナー形式の長尺動画まで幅広く活用できます。
ウェビナーによる教育的アプローチ
オンラインセミナーとも呼ばれる手法で、リアルタイムで専門家が解説することで、顧客の疑問をその場で解消できます。低コストで開催でき、幅広いユーザーにアプローチできるのがメリットです。
ファイマケ代表 苛原寛記事・SNS・ウェビナーといった施策は、それぞれ単独でも効果を発揮しますが、組み合わせることで“顧客体験の流れ”を作ることができます。例えば、オウンドメディアの記事で基礎知識を学んだユーザーに、SNSで最新情報を届け、最後にウェビナーで直接の疑問解消を促すといったやり方です。こうしたシナリオ設計ができると、顧客との関係は一段と強固になります。
なぜ今、金融業界でコンテンツマーケティングが注目されているのか
金融業界における顧客接点がなぜ、コンテンツマーケティングに大きくシフトしているのか。その背景には業界トレンドの変化も関係しており、3つの視点から見ていきましょう。
顧客行動の変化


コンテンツマーケティングが注目される第一の理由は、顧客の情報収集やサービス利用がデジタル中心に移行しているからです。顧客は支店に足を運ぶよりも、スマートフォンやPCを使って検索を行なったり、SNSや比較サイト等で主体的に情報を探したりするようになりました。
例えば、住宅ローンや投資信託を検討する際、まずは基礎知識やシミュレーション方法をWebで調べ、その後に金融機関を比較する流れが一般的です。つまり、顧客はコンテンツを通じて理解を深め、自ら判断材料を集めているのです。
この変化に応えるには、企業側も顧客の判断を支える有益な情報を用意し、デジタル時代のトレンドに沿ったコンテンツを発信しなければなりません。
競合他社の積極的な取り組み
二つ目の理由は、競合他社が次々と力を入れているためです。多くの金融機関が記事や動画・SNSを活用して情報発信を強化しており、顧客にとってはそれが当たり前の比較基準になりつつあります。つまり、コンテンツで顧客との接点を持たない企業は、候補から外れてしまうリスクが高まっているのです。
実際、顧客は複数の金融機関を比較する際に、公式サイトやオウンドメディアの情報量やわかりやすさも基準の一つとしています。発信が弱く情報提供が少ない企業は、「信頼できない」と受け取られかねません。だからこそ、自社もコンテンツマーケティングに取り組み、顧客の選択肢に入り続けることが不可欠なのです。
顧客の長期検討を前提とした情報発信が求められる


三つ目の理由は、顧客の意思決定が非常に慎重で時間を要する点が、近年ますます顕著になっているからです。住宅ローンや投資信託・保険といった金融商品は、金額が大きく長期的な契約につながるため、顧客は衝動的に判断することはほとんどありません。従来から比較検討に時間をかけるのが一般的でしたが、最近は比較サイトやSNS・口コミなど情報源が多様化し、顧客の検討プロセスがより複雑になっています。
このような状況においては、広告のような単発的な訴求だけでは、顧客の慎重な検討を支えるには不十分です。多様なコンテンツを通じて「疑問に答える情報」「選択を後押しする知識」を段階的に提供することが重要になります。
それゆえ、金融業界では長期的に顧客を支援できるコンテンツマーケティングが欠かせないのです。



金融業界でコンテンツマーケティングが求められている背景を理解することは、施策を成功させるために必要です。顧客行動や競争環境のトレンドを踏まえずに取り組んでも、一時的な施策に終わってしまいます。
金融業界のコンテンツマーケティングトレンド5選【2025】
2025年の金融業界におけるコンテンツマーケティングでは、SNS活用や動画施策など、顧客接点を広げる多彩な手法が広がっています。ここでは、最新トレンドを象徴する5つの取り組みを、具体的な事例とともにご紹介します。
インフルエンサー活用施策
金融業界では「難しくて近寄りづらい」というイメージを払拭することが大きな課題です。そこで注目されているのが、インフルエンサーや芸能人を活用した施策です。SNSや動画プラットフォームを通じて、若年層に専門性の高い内容をわかりやすく伝えられるため、金融業界でも積極的に取り入れられる施策として広がっています。
例えば、SBI証券はABEMAの恋愛リアリティ番組「さよならプロポーズ」とコラボし、投資をテーマにしたコンテンツを展開しました。堅い印象のある金融分野を、エンタメと融合させることで新しい層への接点を広げています。
X活用のトレンド:サービス連動や参加型企画
金融業界におけるXの活用は、単なる告知や情報発信にとどまらず、サービスやイベントと連動させて顧客との関係を深める方向へと進化しています。参加型のキャンペーンや限定特典を絡めることで、ファン化を加速させる取り組みがトレンドとなっています。
三井住友銀行は公式キャラクター「ミドすけ」を全面に押し出すことで、親しみやすい投稿を展開。顧客をファン化して愛される関係を築き、SNSならではのコミュニケーションを実現しています。2025年には、金融サービス「Olive」と連動し、音楽フェス「WESSION FESTIVAL 2025」のチケット先行販売を告知。会員限定特典を提示することで、サービスの認知と利用促進を自然に結びつけています。
縦型動画配信


短時間でメッセージを届けられる縦型動画は、若年層を中心に急速に受け入れられている手法です。TikTokやInstagramリールといったプラットフォームの拡大も相まって、金融業界でも教育的なテーマを縦型動画で発信する動きが広がっています。
三菱UFJ銀行はTikTokで「知ろう!カーボンニュートラル」というシリーズで6本の縦型動画を配信。金融と社会課題を結びつけた教育的コンテンツを展開しました。視覚的にわかりやすい動画を活用することで、従来リーチが難しかった層との新しい接点を築いています。
自社データの活用による差別化


金融機関が持つデータを活用した情報発信は、他社との差別化を図るうえで有効な手法として注目されています。市場動向や顧客の投資行動をもとにしたコンテンツは、独自性と信頼性を兼ね備えているため、顧客の意思決定を後押しする役割を果たします。
SMBC日興証券が運営する「日興フロッギー」では、自社の取引データをもとにした人気銘柄ランキングを記事化。例えば【2025年版】みんな何買ってるの?(米国株編)という記事では、ユーザーの購入金額データをもとにエヌビディアやテスラなどの銘柄を紹介しています。一般的なニュース解説ではなく、実際の投資行動を反映したコンテンツである点が大きな特徴です。


LINE活用のトレンド:公式アカウントでの顧客接点強化


国内で利用率の高いSNSの一つであるLINEは、金融機関にとって日常的な接点を築ける重要なチャネルです。近年は、便利な手続き機能に加えて、ユーザー参加型のコンテンツを提供し、ブランドへの親近感を高める活用法が広がっています。
アニコム損保はLINE公式アカウントで「#記念日から数えてみたら」というキャンペーンを実施。ペットの誕生日やお迎え日を入力すると、日数をカウントしたオリジナル画像が生成される仕組みです。利用者がSNSでシェアしやすいコンテンツとして人気を集め、日常の中でブランドとの接点を自然に作り出しています。



トレンドは一過性のものではなく、顧客の行動や期待の変化を反映した市場の声です。ただ事例を見て真似るだけでなく、自社の状況に合わせてどう活用するかを考えることが大切です。ポイントは、表面的な模倣ではなく、顧客にとって価値のある情報や体験に落とし込めるかどうかだと言えるでしょう。
金融業界でコンテンツマーケティングを成功させるための3つのポイント
コンテンツマーケティングは、施策を始めるだけでは成果につながりません。金融業界ならではの最新の業界トレンドを踏まえながら、次の3つの視点を意識することが成功の鍵となります。
ユーザーの立場にたったコンテンツを作成する
金融商品は専門的で難解な言葉が多く、顧客が理解できなければ安心感や信頼感につながりません。そのため、ユーザー目線に立ち、できるだけシンプルでわかりやすい表現を心がけることが大切です。
例えば、同じ内容でも以下のように表現を工夫できます。
OK表現:「毎月の支払いが一定なので、家計の管理がしやすいです」
NG表現:「元利均等返済方式により、毎月の元利金返済額は一定です」
OK表現:「10年後に受け取れるお金のイメージがわかります」
NG表現:「将来のキャッシュフローをシミュレーションします」
こうした配慮の積み重ねが、専門知識のないユーザーでも安心して理解できるコンテンツにつながります。
コンプライアンスを守りながら運用する
金融業界のコンテンツ発信は、金融商品取引法や保険業法などの規制を避けて通れません。誤解を招く表現や過剰な期待を抱かせる訴求は、信頼を失うだけでなく法的リスクにもつながります。
そこで重要なのは、法務部門や専門家と連携し、正確かつわかりやすい表現で情報を提供することです。安心して読めるコンテンツであれば、顧客からの信頼性も一層高まります。
効果測定と改善を繰り返す
コンテンツマーケティングは発信して終わりではなく、ユーザーの反応を計測しながら改善を重ねていくプロセスが欠かせません。
例えば、記事の閲覧数やSNSのエンゲージメント率、ホワイトペーパーのダウンロード数といった指標を分析し、施策の強化や修正につなげていくことが大切です。データに基づいた改善を繰り返すことで、施策の精度が高まり、成果につながる運用が実現できます。



金融業界のコンテンツマーケティングは、短期的な成果を狙うものではありません。むしろ、記事や動画を通じて顧客理解を深め、長期的な信頼を築いていくことに価値があります。その積み重ねが、契約や顧客ロイヤルティの向上につながります。
金融業界のコンテンツマーケティングならファイマケ!
ファイマケは、金融業界に特化したSNS・SEO記事制作を中心に、最新トレンドを踏まえたコンテンツマーケティングを支援する会社です。オウンドメディアやSNSの運用から動画施策まで幅広く対応し、企画立案からクリエイティブ制作・成果分析までをワンストップで伴走します。制作スタッフは金融知識に精通しており、すべてのコンテンツは1級ファイナンシャル・プランニング技能士である代表・苛原が確認・監修します。
「社内にノウハウがない」「法務チェックに時間がかかりスピードが出ない」といった課題も、独自のチェックフローと豊富な金融機関向け実績に基づいてスムーズに解決可能です。
まずは無料相談で、貴社の現状や目標をお聞かせください。金融業界ならではの信頼性と成果を両立した情報発信体制を、ファイマケがともに築き上げます。








