信用金庫はSNSをどう活用すべきか?目的・運用事例・運用方法を徹底解説

近年、金融機関にとってSNSは若年層や地域住民との重要な接点になりつつあります。メガバンクだけでなく、地域密着型の信用金庫でも「SNSを活用してみよう」という機運が高まっています。しかし、「具体的に何を発信すればいいのか」「銀行とはどう違う運用になるのか」「社内体制やコンプライアンス上の不安も…」と悩んでいる信用金庫の担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、金融機関のSNS運用支援を手がける専門家である株式会社ファイマケ代表・苛原 寛が、信用金庫におけるSNS活用の目的や期待できる効果、実際の運用事例、成功させるためのポイントまで徹底解説します。信用金庫ならではの強みを活かしたSNS戦略を理解し、明日からの運用改善にぜひお役立てください。

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この記事はこんな人におすすめ
  • 信用金庫の本部・広報担当になったが、SNS運用をどこから始めれば良いか分からない方
  • 信用金庫のSNSを運用しているものの、フォロワーや反応が伸び悩み効果を感じられていない方
  • 上司から「他の信用金庫のSNS事例を調べて」と言われ、成功・失敗例を把握したい方
  • 信用金庫のSNS運用で成果を出すポイントや、内製・外注の判断基準について知りたい方
目次

信用金庫がSNSを活用するべき理由と銀行との活用方法の違い

まずは、信用金庫がSNSを活用するべき理由と銀行との活用方法の違いについて整理します。

なぜ今、信用金庫にSNSが求められているのか

人口減少や高齢化が進む中、信用金庫においても若年層や地域の人々との新たな接点づくりが課題となっています。総務省の調査によれば、2022年時点で日本のSNS利用者数は1億人を超えており、SNSは日常生活からビジネスまで欠かせないコミュニケーション手段に成長しました。

こうした背景から、「若年層との取引強化」や「取引先企業の本業支援」を目的にSNSアカウントを開設する信用金庫が増えています。SNSはチラシやホームページとは異なり、タイムリーかつ双方向に情報を届けられるため、地域の小さな話題や金融商品以外の情報も発信しやすいのが特徴です。

信金中央金庫の調査によると、2024年5月時点でSNSを活用している信用金庫は125金庫に達しています。これは全金庫の約半数です。また、SNSの種類ではLINEが70金庫、Instagramが63金庫と多くなっています。

ファイマケ代表 苛原寛

Instagramの活用でご相談をいただくケースが多いです!

銀行・メガバンクのSNS活用との違い

信用金庫のSNS活用は、都市銀行やメガバンクのそれとは目的やアプローチが異なる点に注意が必要です。メガバンクは全国規模のブランド力を背景に、芸能人やインフルエンサーを起用して大量の広告費を投下し、SNSでのコンテンツ制作や商品P、や認知度拡大を図るケースが多いです。

一方、信用金庫は特定地域の中小企業や住民の相互扶助を目的とした協同組織であり、SNSでも「地域との関係構築」や「親近感の醸成」が重視されます。例えば、自地域の伝統行事や地元店の紹介、職員の日常などローカルで身近な話題を発信することで、「地域に根ざした金融機関」としての存在感を高める傾向があります。

また、信用金庫は営利企業である銀行とは異なり、利益追求よりも地域貢献や会員の繁栄が目的の組織です。そのためSNS運用でも商品の直接売り込みより、地域への情報提供や双方向コミュニケーションを重視する点が特徴です。結果として、銀行のSNSが全国の幅広いユーザーに向けた「マーケティング色」の強い発信になりがちな一方、信用金庫のSNSは地域密着型の「コミュニティ運営」に近いニュアンスとなります。

例えば投稿へのコメントに対して丁寧に返信したり、地域イベントの様子をライブで共有したりといった細やかな対応は、地元に根差す信用金庫ならではのSNS活用法と言えるでしょう。

信用金庫のSNS活用で期待できる効果

信用金庫がSNSを上手に活用すると、次のような効果が期待できます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

若年層を中心とした新規顧客との接点創出

若年層は日常的にSNSを情報源として利用しています。店舗に足を運ばなくても、SNS上で信用金庫の存在や活動を知ってもらうことで、まだ口座を持っていない大学生や若手社会人との早期接点をつくることができます。

従来、金融機関と言えば商品(預金や融資)の宣伝になりがちでした。しかしSNSでは商品を押し出さずとも、日々の投稿を通じて「◯◯信用金庫」という存在そのものを地域の人に認知してもらう効果があります。「近所にこんな信用金庫があるんだ」「地元の情報発信をしていて親近感が持てる」と思ってもらえれば、いざという時に相談先として頭に浮かぶきっかけになります。

特に若者は銀行より信用金庫への馴染みが薄い場合も多いため、SNSで存在認知を図る意義は大きいです。

地域住民との継続的な関係構築

SNSで地元の祭りや商店街のセール情報、地域ニュースなどを積極的に発信すれば、フォロワーである地域住民の日常タイムラインに信用金庫が継続的に登場することになります。

投稿を見る頻度が増えれば、「いつも地元の情報を教えてくれる」「地域のことを応援してくれる」というポジティブな印象が蓄積され、顧客とのエンゲージメント(つながり)が深まります。これはATMや店頭での張り紙だけでは得られない、SNSならではの接点強化と言えるでしょう。

また、SNSは24時間閲覧できるため、営業時間外やまだ来店していない層ともコミュニケーションできます。コメント欄で地域の話題について利用者とやり取りしたり、アンケート機能で意見を募ったりすることで、店舗の外でも対話が続く関係を築けます。信用金庫は「対面のきめ細やかさ」が強みですが、SNS上でも親身なコミュニケーションを見せることで、「困ったときに相談しやすい存在」として地域住民からの信頼感アップにつながります。

採用・ブランディングへの波及効果

信用金庫の公式SNSに若手職員が登場したり、職員の日常や社内イベントの様子が紹介されたりすると、「職員の人柄」や「職場の雰囲気」が可視化されます。

これは新卒採用の面でも効果的です。就職活動中の学生にとって、信用金庫の仕事はイメージが湧きにくい部分もありますが、SNSで明るく生き生きと働く職員の姿を発信することで「こんな先輩と働いてみたい」「地域の役に立つやりがいがありそう」と感じてもらえます。実際に、城南信用金庫では公式Instagramで若手職員のエピソードを紹介し、採用ブランディングに活用しています。

金融機関、とりわけ信用金庫は安全堅実ではあるものの、若い世代には「堅苦しい」「古めかしい」という印象を持たれがちです。SNSでカジュアルな投稿や親しみやすいキャラクター投稿などを行うことで、そうしたイメージを和らげる効果があります。例えば、奈良信用金庫は公式キャラクター「ならっきー」によるゆるいコメント投稿が人気を博し、ファンミーティングが開かれるほどの盛り上がりを見せました。このようにSNS上でユーモアや温かみを発信することで、「親近感のある金融機関」というブランディングにつながります。

ファイマケ代表 苛原寛

就職活動においてもSNSを利用して会社の情報を収集する若年層は意外と多いです!

信用金庫のSNS活用事例5選

それでは、具体的に信用金庫がどのようにSNSを活用しているのか、特徴的な事例を5つ紹介します。自社でのSNS運用の参考にしてみてください。

東濃信用金庫:Instagramで地域イベント・行事を中心に発信

東濃信用金庫(岐阜県)は、Instagramを活用して地元のイベント情報や観光スポットなどを積極的に発信しています。特徴的なのは、他アカウントとのコラボ投稿を活用している点です。

例えば、岐阜県の東濃地域と鳥取県の米子地域という離れた土地同士で、「しんきん推し旅」という共同企画を2025年4月から開始し、互いの地域の魅力を紹介し合う取り組みを行いました。東濃信金と米子信金の公式Instagramから共同投稿を配信し、岐阜・愛知エリアと山陰地方それぞれの観光スポットを写真や動画で紹介することで、双方の地域のファンを増やし観光誘致につなげる狙いです。

また、東濃信用金庫は他にも地元自治体や観光協会、さらには近隣の地方銀行などともコラボ投稿を行っています。こうしたクロスコラボにより、異なるフォロワー層にリーチできるため、フォロワー数の拡大と投稿エンゲージメント向上に貢献しています。東濃信用金庫のInstagramは職員自身が「とうしんです。」というフランクな口調で発信するスタイルも取り入れており、地域のフォロワーから親しまれるアカウントとなっています。

東濃信用金庫は定期的に地域行事や季節の話題を発信し続けており、「このアカウントを見れば地元の最新情報がわかる」というポジションを確立しています。他の信用金庫や自治体等とのネットワークを活かしてSNS運用している点は、信用金庫ならではの地域連携をSNS上で体現した好例と言えるでしょう。

城南信用金庫:Instagramで若手職員が登場し職場の雰囲気を伝える信用金庫

城南信用金庫(東京都)は、公式Instagramアカウント「城南じもと便り(@johnanshinkin)」にて、職員が主役のコンテンツ発信に注力しています。地域の人気スポット紹介なども行っていますが、特に目を引くのが若手職員の紹介や社員出演の動画です。例えば、新入職員が登場して「なぜ信用金庫に入ったのか」「現在の業務とやりがい」といったエピソードを語る投稿や、ベテラン職員が語るお客様との心温まるエピソードなど、採用PRを意識したコンテンツが定期的に投稿されています。

また、城南信用金庫はInstagramでショートドラマ形式の動画コンテンツにも挑戦しています。実際に脚本家を起用して制作した全3話のオリジナル短編ドラマを投稿し、城南信用金庫のアカウント上で公開しました。定期預金の訴求を、ショートドラマでおこなった画期的な取り組みです。

本来堅くなりがちな商品案内も、発信方法を変えることでユーザーの関心を惹きつけています。ショートドラマは制作予算が一定かかりますが、新たな取り組みとしてやってみてもいいかもしれません。

ファイマケ代表 苛原寛

ショートドラマは最近流行していて、多くの金融機関が投稿しています!

城北信用金庫:YouTubeで地元のお店や商品をPR

城北信用金庫は2022年11月に公式YouTubeチャンネル「JoynTV!」を開設し、地域の中小企業の商品紹介動画を配信しています。30~40代の女性を主なターゲットに毎週水曜21時に約7分の動画を公開しています。

絶品グルメやスイーツ、下町発のおしゃれアイテムなど幅広いジャンルの商品を取り上げ、MCのフリーアナウンサー山部朱里氏が実際に食べたり使ったりして、消費者目線のリアルな感想を伝える構成となっています。

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著者情報

苛原 寛のアバター 苛原 寛 株式会社ファイマケ 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。東京海上日動火災保険で3年間法人営業を担当した後に起業。金融機関のSNS運用代行やWebコンテンツ制作・マーケティング支援を専門におこなう。
制作に携わった金融コンテンツは1万件以上。Xフォロワーは8,000人超。1級ファイナンシャル・プランナーの資格を保有。

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