【消費者金融の広告担当者必見】消費者金融の広告戦略完全ガイド|テレビCMからデジタルへの移行をプロが解説

消費者金融のマーケティング担当として「テレビCMはわかるが、デジタル広告やSNSで何ができるのか整理できていない」「貸金業法と媒体の広告ポリシーの両方をクリアする方法がわからない」、そんな課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。あるいは広告代理店として消費者金融のクライアントを担当していながら、業法の実務知識が不足していて、コンプライアンス部門との打ち合わせに不安を感じている方もいるかもしれません。

本記事では、金融業界に特化したSNS運用支援を行う筆者(ファイマケ代表・苛原寛)が、消費者金融の広告チャネル全体像から貸金業法・景表法・各媒体の広告ポリシーという3つの規制の枠組み、そして実在事例にもとづくデジタル広告の実務設計まで、順を追って解説します。

株式会社ファイマケでは金融業界に特化したSNS運用支援を提供しています。
サービス詳細はこちらからご確認ください。

この記事はこんな人におすすめ

・消費者金融の広告担当者で、テレビCM・デジタルなど広告チャネルの全体像を把握したい方
・テレビCM偏重からの脱却を模索しており、他社の広告チャネル戦略を把握したい方
・消費者金融の広告予算配分を検討しており、テレビCMとデジタルのどちらに投資すべきか判断材料を探している方
・広告代理店で消費者金融クライアントを担当しており、貸金業法と媒体ポリシーの両方を理解したい方

この記事を書いた人
苛原寛のアバター 苛原寛 株式会社ファイマケ 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。東京海上日動火災保険で3年間法人営業を担当した後に起業。金融機関のSNS運用代行やWebコンテンツ制作・マーケティング支援を専門におこなう。制作に携わった金融コンテンツは1万件以上。Xフォロワーは8,000人超。1級ファイナンシャル・プランナーの資格を保有。著書『選ばれる金融機関になるためのSNS戦略(金融財政事情研究会 出版)』

目次

なぜ消費者金融に広告は必要なのか?

消費者金融の広告は、単なる集客手段ではありません。スマートフォン申込の主流化・SNS型詐欺の急増・競合各社のデジタルシフトという3つの構造変化が重なる今、広告への投資は「申込導線の確保」「信頼性の可視化」「競争優位の維持」から必要性が高まっています。

①消費者金融は「想起率」が業績に直結するため、広告投資が事業の根幹になる

消費者金融の利用は、急な出費・月末の資金不足など突発的なニーズに起因することが多い業種です。「お金が必要になった瞬間に最初に名前が浮かぶ会社」であることが、申込につながる競争上の優位性に直結します。

アコム・SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)・アイフルなど、各社がキャラクターやシリーズを長期継続して認知形成に投資してきたのも、この「想起率の確保」という業種特性に基づいています。広告投資が止まれば認知が落ち、同じニーズを持つ消費者が競合へ流れるリスクが高まります。つまり消費者金融にとって広告は、出すか出さないかを検討する任意の施策ではなく、想起率を維持し続けるために欠かせない事業活動と言えるでしょう。経営上の論点は「広告をやるかどうか」ではなく、「テレビCM・デジタル広告・SNSをどう組み合わせて想起率を維持するか」という設計の問題に移っていると考えられます。

②SNS型詐欺の急増で、正規業者が広告で存在感を示すこと自体が信頼の証明になる

警察庁の統計では、2025年のSNS型投資詐欺の被害総額は1,288億円・認知件数は9,523件にのぼり、2024年(871億円・6,413件)から引き続き増加しています。

このような環境では、貸金業法の登録業者である消費者金融各社がデジタル上で継続的に広告・情報発信を行うことは、集客施策を超えた意味を持ちます。「公式の正規業者である」ことを可視化し続けることが、消費者を非登録業者から守る役割も担っています。

ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融の広告は、単にコストを下げるためだけでなく、社会的に重要な役割を担っていると感じています。ヤミ金融や無登録業者がSNS上で「審査なし・即日融資」という偽広告を展開する中で、貸金業法の登録業者がしっかりと「信頼できる公式の選択肢」として認知されることは、多重債務問題の防止にもつながる面があります。公式認証と正確な情報発信が、業界全体の信頼性を守る公共的役割を担っているという認識が、消費者金融の広告運用において重要だと考えています。

③競合各社のデジタルシフトに出遅れると、広告コスト格差が広がる

消費者ローン残高が2024年12月時点で4兆4,117億円と11年ぶり高水準に回復し、プロミスが2026年度上期をめどに店舗を全廃する方針を打ち出すなど、業界全体のデジタルシフトは不可逆の流れとなっています。業績回復により各社が広告投資を強化する局面では、デジタル広告の主要キーワードの競争が激化し、後から参入するほどCPA(広告1件あたりの獲得コスト)が上昇する傾向があります。

大手各社はすでにデジタル広告への移行を進めています。デジタル広告のCPAはブランド認知が高いうちほど低く抑えられる傾向があります。テレビCMによる指名認知が高いうちにデジタルを整備することで、指名キーワードの獲得コストを抑制しながら移行できる可能性が高まります。認知が落ちてからデジタルに移行しようとすると、信頼形成コストと広告費が増大する傾向があります。

ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融のマーケティング担当者から「テレビCMは続けているのに申込が増えない」という相談を受けることがあります。その多くは、テレビCMで名前を覚えてもらった後の「スマートフォンでの検索→SNSでの確認→申込」という導線が整備されていないことに原因があります。「テレビCMで作った認知資産をデジタルで受け取る設計」が今の消費者金融広告に必要なピースだと感じています。業績回復とデジタル化が重なる今こそ、この設計に投資するタイミングだと考えています。

消費者金融の広告規制とNG事例

消費者金融が活用できる広告チャネルは、主にテレビCM・新聞雑誌・屋外広告・デジタル広告(検索広告・SNS広告・動画広告・ディスプレイ広告など)に分類されます。アコム・SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)・アイフル等、各社がキャラクター・シリーズを長期継続して認知形成を図るテレビCMが歴史的な主力ですが、スマートフォン申込の主流化に伴い、デジタル広告の重要性が急速に高まっています。

これらのチャネルを横断して理解しておかなければならないのが、消費者金融広告特有の規制の枠組みです。消費者金融の広告担当者・代理店担当者が最も困るのは「この表現はOKか、NGか」の即時判断です。その根拠は、貸金業法・景表法・各媒体の広告ポリシーという3つの規制の枠組みにあります。これら3つはそれぞれ独立して適用されるため、どれか一つをクリアしても他の規制に抵触するケースが起きます。「この表現はOKか」を即座に判断するには、各規制が何を禁じているか、どこまでなら許容されるかを事前に整理しておくことが出発点となります。

①貸金業法第16条(誇大広告等の禁止)

消費者金融広告の最上位規制は貸金業法第16条です。

第16条第1項は、「貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告をするときは、貸付けの利率その他の貸付けの条件について、著しく事実に相違する表示若しくは説明をし、又は実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示若しくは説明をしてはならない」と定めています。

実務上の重要ポイントは3つです。

  1. 上限金利(実質年率)の明示義務
    広告・ランディングページには「年率○○%〜○○%(実質年率)」の明示が必要です。消費者向け貸付の金利は出資法・利息制限法で上限が定められており(年率15〜20%の区分規制)、この範囲内での表示が求められます。
  2. 容易性の過度強調の禁止
    「誰でも借りられる」「審査激甘」「審査なし」等の表現は、「実際より著しく有利」として第1項に抵触するリスクがあります。
  3. 返済能力超過防止への配慮(第16条第2項)
    「いますぐ100万借りられる」等の過度な借入訴求は第2項の配慮義務との整合性が問われます。

貸金業法は「誇大な表現を使ってはいけない」という方針を定めた法律ですが、「具体的にどんな表現がNGなのか」まで細かく規定しているわけではありません。その「実務上の判断基準」を担っているのが、貸金業者で構成される業界団体・日本貸金業協会の自主規制と事前審査制度です。

テレビ・新聞・雑誌・電話帳に広告を出す場合は、掲載前に日本貸金業協会の審査を通過する必要があります。協会が定めるルールでは、「今すぐ申し込んで!」と煽る誘引広告、多重債務を助長するような表現、「誰でも借りられる」等の審査の容易さを過度に強調する表現が、具体的な禁止類型として列挙されています。

②景表法(優良誤認禁止・ステマ規制)

景品表示法第5条第1号(優良誤認表示の禁止)も消費者金融広告に直接適用されます。

「業界最低金利」「審査通過率No.1」という記載は、根拠なき最上級表現として第5条第1号に該当するリスクが高いです。また、比較広告で他社の不利な点のみを強調することも、不当比較として問題になる可能性があります。

景表法が消費者金融広告に関わる場面は、誇大表示の禁止にとどまりません。SNSを活用したマーケティングが広がるなかで、2023年10月には景表法に「ステマ規制」が新たに追加されました。消費者金融がインフルエンサーに借入体験談を投稿依頼する場合、景表法ステマ規制により「#PR」「広告」の明示が必須です。表記があっても依頼関係が透明化されていなければ違反認定のリスクがあります。

③デジタル広告の媒体ポリシー

デジタル広告を出稿する際には、貸金業法・景表法に加えて、各媒体の広告ポリシーが規制として加わります。

Google Ads「金融サービス」ポリシー

これらを満たさないと広告が審査落ちになる傾向があります。一方で、必須要件を事前に満たしたLP(ランディングページ)・広告文を作っておくことで審査通過率は大きく改善する可能性があります。

  • 貸金業登録番号の開示(広告・ランディングページへの記載)
  • 最大金利・最小金利(実質年率)の明示
  • 消費者保護に関する情報へのアクセス提供

Meta(Instagram/Facebook)広告

  • 消費者金融は金融サービス審査強化対象カテゴリにあたります。
  • 「誰でも申込可」「審査なし」「即日確実」等の誇大表現は審査落ちになる傾向があります。
  • インフルエンサーとのタイアップの場合、Metaの「ブランドコンテンツ広告」機能での開示設定が必須です。

TikTok For Business>

  • 金融サービスカテゴリで認可証憑(貸金業登録番号等)の提出が求められる傾向にあります。
  • 「誰でも借りられる」「審査激甘」等の誇大表現はコンテンツ停止リスクがあります。

使ってはいけない表現一覧誇大・誘引広告のNG例

規制の枠組みを理解したうえで、実際に問題になりやすい表現・設計パターンを確認しておきましょう。

「審査激甘」「100%融資保証(架空サービスの例)」「誰でも借りられる」「ブラックでもOK」「即日確実融資」「業界最低金利(根拠なき場合)」「他社より絶対有利」などの表現は、貸金業法第16条第1項(著しく有利と誤認させる表示の禁止)および景表法第5条第1号(優良誤認表示の禁止)に抵触するリスクが高いと整理されます。

「審査激甘」という表現が特に問題なのは、融資審査の容易性を過度に強調することが「容易性の過度強調」として日本貸金業協会の自主規制にも違反するためです。

SNS広告で陥りやすい4つのNG

  • SNS広告クリエイティブでの誇大表現
    バナー広告・動画広告のクリエイティブ内に「審査激甘」「誰でも借りられる」等の禁止表現が含まれていないか確認が必要です。テキスト原稿だけでなく、画像・動画内のテロップも対象になります。媒体の自動審査はテキストを中心にチェックする傾向があり、画像内テキストは見落とされがちなNGの温床になりやすい点に注意が必要です。
  • リターゲティング広告での過度な訴求
    一度LPを訪れたユーザーへのリターゲティング広告で、「お困りのあなたへ」等、個人の経済状況を推測させる訴求は、媒体ポリシー上のセンシティブ情報の取扱いに抵触するリスクがあります。
  • 「#PR」表記なしのインフルエンサー起用
    インフルエンサーに依頼して借入体験談を投稿させる際、「#PR」「広告」の明示がなければ景表法第5条第3号告示(ステマ規制)に違反するリスクがあります。表記があっても依頼関係が透明化されていなければ違反と認定されるケースがある点も注意が必要です。
  • AI生成コンテンツの業法NGワード混入
    生成AIで広告文・SNS投稿文を作成した場合、「必ず」「絶対」「確実」等の断定表現や「誰でも」「審査なし」等のNGワードが自動的に入り込むリスクがあります。AI生成コンテンツには業法チェックを必ず挟む体制が必要です。
ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融の広告担当者から「どこまで言えるかわからない」という相談を受けることがあります。私の経験では、NG表現の境界線を「禁止リスト」で管理するより、「言えること・言えないことの型」をコンプライアンス部門と事前に合意して文書化する方が、現場での迷いが格段に少なくなる傾向があります。
「審査激甘」はNG、「必要な時に使える」はOKのように、この種の判断基準表(表現可否マトリクス)を最初に作ることで、担当者がコンテンツを作るたびにコンプライアンス部門に問い合わせる手間がなくなります。

消費者金融の広告活用事例3選

貸金業法・景表法・各媒体の広告ポリシーを踏まえたうえで、実際の消費者金融各社がどのような広告展開をしているかを見ていきます。各社の戦略は「テレビCMで築いたブランドをデジタルで延長する」という方向性で共通していますが、広告(ペイド)とSNSオーガニック運用のどちらに重点を置くかは各社で異なります。

①アコム|テレビCMを軸に複数SNSチャネルでオーガニック展開

アコム株式会社は、テレビCMを起点に、X・TikTok・LINE・YouTubeにわたる複数のSNSチャネルでオーガニック運用を展開している企業の一つです。広告(ペイド)とオーガニック運用を連動させた多チャネル設計が特徴です。

Xでは、新WebCMの公開タイミングに合わせてX上でも同コンテンツを紹介し、CMとSNSを連動させるアプローチをとっています。CM動画だけでなくメイキング動画も紹介し、CMコンテンツへの関心をSNS上での接触機会に広げる設計が特徴です。

また、TikTok公式アカウントでは、「泣けるショートドラマを毎週配信中 / 恋・夢・家族…心に刺さる1本を。」というコンセプトで、オリジナルショートドラマをオーガニック投稿として、継続配信しています。カードローンの機能・金利を直接訴求するのではなく、「感情を動かすコンテンツ」でブランドへの好感を醸成し、名前の想起につなげるという設計は、TikTok For Businessの金融サービスポリシーとの整合性を保ちながら認知形成を図る好例と言えます。

②SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)デジタルシフトを積極推進

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(プロミス)は、テレビCM「プロミス号」シリーズで高い認知を維持しながら、デジタルシフトを積極的に進めている企業の一つです。

日本経済新聞の報道によれば、プロミスは2026年度上期をめどに残る店舗をすべて廃止する方針を打ち出しています。店舗数は2020年の890店舗から190店舗と5年で約80%削減されており、スマートフォンで「申込から借入まで完結できる」サービスが主要インターフェースとなっています。

この戦略の本質は「テレビCMで認知を作り、スマートフォンのデジタル完結プロセスに誘導する」というフルデジタル設計です。店舗を持たないネット銀行が、SNSとアプリUIでブランドを体現するのと同様の構造へと移行しています。

また、X公式アカウントでは、「#教えてプロミス」ハッシュタグを使ったQ&A形式のオーガニック投稿を継続的に実施しています。「利用限度額増額の審査結果はいつ来る?」といったユーザーの疑問に対し、「原則当日中にメールまたはお電話でご連絡」「アプリ・Webサイトの『お知らせ』からも確認可能」と具体的に回答し、公式サイトの詳細ページへ誘導するフォーマットです。申込前・利用中の不安を解消するコンテンツをオーガニック投稿で提供することで、検索代替としてのX活用と、既存顧客のエンゲージメント維持を同時に図っている設計と見られます。

③アイフルテレビCM・SNS・LINE等を組み合わせた運用

アイフル株式会社は、「そこに愛はあるんか?」でおなじみのテレビCMで高い認知を維持しながら、公式XやLINEをオーガニック運用で組み合わせて展開しています。

X公式アカウントのオーガニック投稿では、新CM公開に合わせた「フォロー&リポストキャンペーン」を実施しました。「ラブファントム女将篇」新CM公開記念では、ハッシュタグ「#ラブファントム女将」付きのCM感想コメントでWチャンス賞品が当たる設計とし、CMへの感想という形でユーザーに自発的な言及を促しています。

また、LINE公式アカウントは友だち数236,391を抱え、チャット相談・店舗検索など申込前の問い合わせ導線をLINE上に集約しており、テレビCMで想起された潜在顧客をLINEで受け止め、申込へつなぐ設計になっています。

テレビCM・検索広告・SNSを連動させた広告設計

各社の事例に共通するのは、テレビCMとデジタル(検索広告・SNS等)を分断して運用するのではなく、3つのチャネルを連動させる設計です。

  • テレビCM(認知形成)
    「アコム」「プロミス」「アイフル」というブランド名を大量接触で記憶させる。特に急な出費が必要になった時に最初に思い出せる会社としての想起形成が目的。
  • 指名キーワード検索広告(検索捕捉)
    テレビCMで記憶した人がスマートフォンで「アコム 申込」「プロミス 審査」と検索した際に、確実に上位表示で捕捉する。同時に、偽広告・なりすまし業者から自社ブランドを守る商標防衛の機能も兼ねる。
  • SNSオーガニック運用・公式コンテンツ・ランディングページ(信頼形成・申込誘導)
    SNS公式アカウントのオーガニック運用・コンテンツ発信によって、申込前の信頼確認を可能にする。
    ランディングページに貸金業登録番号・上限金利・返済シミュレーターを整備することで、申込の後押しをする。

3つのチャネルを連動させることにより、テレビCM投資が認知形成で終わらず、申込というアクションにつながる可能性が高まります。テレビCMだけで申込まで完結しようとする偏りや、デジタルだけで認知を取ろうとする偏りが、広告ROI(投資対効果)の構造的な限界を作る傾向があります。

ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融のスマートフォン申込主流化は、マーケティング設計の構造転換を意味しています。テレビCMで「アコム」「プロミス」の名前を知った20〜30代が、スマートフォンで検索し、SNS上のコンテンツを見てから申込を決める。この導線が現実化しているとすれば、テレビCMは「名前を覚えてもらうだけで申込につながりにくい投資」になります。SNSとデジタル広告を「テレビCMの投資を最大化する接触設計」として組み込む発想が、消費者金融のマーケティング担当者には今最も求められている視点だと考えています。「急な出費が必要になった人がスマートフォンで調べて安心できる情報にたどり着ける状態を作る」ことが、消費者金融のデジタルマーケティングの本質だと感じています。

消費者金融の広告代理店選びで見るべき7つの基準

消費者金融の広告を外部代理店に委託する際、「金融業界実績あり」というだけでは不十分です。消費者金融特有の規制の枠組み(貸金業法・景表法・媒体ポリシー)に精通しているかどうかが重要です。ここでは、消費者金融の広告代理店選びで見るべき7つの基準を紹介します。

①貸金業法の条文知識(実務レベル)

「貸金業法第16条第1項と第2項の違いを説明してください」という問いに即答できる担当者がいるかどうかが、まず確認すべき基準です。第1項は「表示の誇大禁止」、第2項は「返済能力超過防止への配慮義務」。この区別を理解していない代理店は、どの表現が違反になるかを正確に判断できない可能性が高いと言えます。

②日本貸金業協会の広告審査経験

テレビ・新聞・雑誌への出稿を想定する場合、日本貸金業協会の事前審査を通過した実績があるかどうかが重要です。「審査を通ったことがある」だけでなく、「どのような表現で差し戻されたか」「どう修正して通過したか」まで経験として持っているかが、実務知識の深さを測る指標になります。

③媒体ポリシー(Google・Meta・TikTok)の最新版把握

Google Ads「金融サービス」ポリシーは年に数回改定されます。「直近の改定内容を、社内のどのチームが何日以内にキャッチアップする体制になっていますか?」という問いに答えられない代理店は、改定後に審査落ちが発生するリスクを内包していると考えられます。

④アフィリエイト管理責任の理解

提携アフィリエイトサイトの表示物の管理まで提供できる体制を持っているかどうかを確認してください。「アフィリエイトの管理は別部署」「アフィリエイト先の表示物は当社の責任外」という対応をする代理店は、本体へのコンプライアンスリスクを遮断できていません。

⑤LP設計の法令対応

LPに貸金業法の必須表示(実質年率・貸金業登録番号・返済例)が適正に配置されているかを、受注後すぐに確認・整備できる体制があるかどうかを確認します。これが整っていないと媒体審査で毎回止まる傾向があります。

⑥コンプライアンス部門との打ち合わせ対応

代理店担当者がクライアントのコンプライアンス部門と直接打ち合わせに参加できるかどうかが重要です。コンプライアンス部門に上げたら毎回1〜2週間かかるという問題を、代理店がコンプライアンス部門と直接連携することで短縮できる可能性が高まります。

⑦稟議資料の共同設計

「広告費の稟議を一緒に作れるか」が最後の選定軸です。業態別CPA帯を「他社事例の引用」ではなく「自社の業態×キーワード×LP×季節性で再計算した数値」として稟議書に提示できる代理店かどうかが、経営陣への説明可能性を分けます。

ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融の広告代理店を選ぶ際、「金融業界実績あり」というだけでは不十分だと感じています。
「貸金業法第16条第1項・第2項の両方の趣旨を説明できるか」「日本貸金業協会の広告審査で実際に通った経験があるか」「アフィリエイトサイトの表示物管理まで提供できるか」は特に重要な3点です。
金融業界全般に強い代理店でも、消費者金融特有の「容易性の過度強調禁止」「誘引広告禁止」まで踏み込んだ実務知識を持っているケースは、体感で多くはない印象があります。業法の条文番号レベルで対話できる代理店かどうかが重要だと考えています。

消費者金融の広告に関するよくある質問

Q1 消費者金融の広告でインフルエンサーを起用できますか?

起用は可能ですが、3つの注意点があります。

  1. 景表法ステマ規制(2023年10月1日施行)により「#PR」「広告」の明示が必須です。
  2. 投稿内容が貸金業法の禁止表現(誘引広告・容易性の過度強調・誇大表現等)に該当しないかの事前チェックが必要です。
  3. インフルエンサーが個人の発信として「審査に通った」「即日借りられた」等の具体的な借入体験を表現した場合、本体(貸金業者)の管理責任が問われるリスクがあります。インフルエンサーへの発注仕様書に「表現制限一覧」を必ず添付し、投稿前の確認フローを契約に組み込むことが最低限のリスクヘッジと考えられます。
ファイマケ代表 苛原寛

消費者金融のインフルエンサー起用で最も見落とされがちなのは、インフルエンサー本人が「貸金業者の管理責任の射程に入る」という点です。保険業法第283条と同様の構造で、消費者金融が起用したインフルエンサーが個人アカウントで「審査激甘」「実体験で即日借りられた」等の表現をした場合、本体のコンプライアンス問題になる可能性があります。「#PR」の表記があっても、依頼関係が透明化されていなければ景表法ステマ規制違反とも重複します。インフルエンサー起用の発注仕様書に「表現制限一覧」を添付し、投稿前チェックを義務付けることが、この業態での最低限のリスクヘッジと考えています。

Q2 消費者金融の広告でアフィリエイトを使うリスクは何ですか?

アフィリエイト広告を活用する際の最大のリスクは「提携アフィリエイトサイトの表示物についても、本体(貸金業者)の管理責任が問われる構造」です。「審査激甘」「ブラックでもOK」「誰でも借りられる」等の禁止表現を提携アフィリエイトサイトが使い、本体が知らないうちに貸金業法第16条違反として問題化するケースが業界で繰り返し発生しています。

ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)との契約に「禁止表現リスト」「違反時の即時契約解除条項」を必ず含めること、定期的に提携サイトの表示物を確認する体制を持つことが対策として有効です。

Q3 消費者金融がデジタル広告・SNSに移行するタイミングはいつですか?

2024年12月時点で消費者ローン残高が4兆4,117億円と11年ぶり高水準に回復したことが報じられており、スマートフォン経由の申込の主流化が進んでいます。業績回復とデジタル化が重なる今がデジタル移行の最適タイミングの一つと言えるでしょう。

テレビCMによる指名認知(ブランド認知)を持っているうちに、デジタル広告・SNSで検討層を獲得する「テレビCM・デジタル広告・SNSの連動設計」に移行することで、若年層・スマートフォンネイティブ層への接触コストが構造的に改善する傾向があります。

テレビCMの認知が高いうちにデジタル広告・SNSを整備することが、CPAを抑制しながら移行できるアプローチです。タイミングを逃してブランド認知が落ちてからデジタル広告・SNSに移行すると、指名キーワードのCPC(クリック1回あたりの広告費用)上昇・信頼形成コストの増加で移行コストが増大する可能性があります。

Q4 生成AIで消費者金融の広告文を作成する際の注意点は?

生成AIは消費者金融の広告文作成に活用できますが、特有のリスクがあります。生成AIのモデルは、消費者金融業界特有の禁止表現(「審査激甘」「誰でも借りられる」「100%融資」等)の規制背景を十分に学習していない場合があります。「魅力的な広告文を作って」という指示で生成されたコンテンツに、業法NGワードが含まれるリスクは実際に存在します。

生成AI活用時の対策として、以下の3点が有効です。

  1. 生成後に必ず業法チェックリスト(貸金業法第16条の禁止表現リスト)との照合を行う
  2. プロンプトに「以下の表現は使用禁止」として禁止ワードリストをあらかじめ含める
  3. 生成されたコンテンツをコンプライアンス担当者が確認するフローを必ず挟む

消費者金融の広告運用代行はファイマケへ

消費者金融業界は、業績回復とデジタルシフトが重なる転換期を迎えています。
テレビCMで構築してきた認知資産を守りながら、スマートフォン・SNSという新しいタッチポイントでの信頼形成とクロージングを実現する。この「テレビCMとデジタル広告・SNSの橋渡し設計」が、今の消費者金融マーケティング担当者が最初に取り組むべきテーマと言えるでしょう。

「業法を知らない代行会社に依頼したら媒体審査が通らない」「アフィリエイトサイトがNGワードを使っていてコンプライアンス部門から指摘を受けた」など、消費者金融の広告運用ではこのような業法・媒体ポリシー対応の課題が伴います。

株式会社ファイマケは、金融業界に特化したSNS運用支援会社です。代表の苛原寛はFP1級資格保有・東京海上日動火災保険での法人営業3年・Xフォロワー約8,000人のバックグラウンドを持ち、銀行・信用金庫・証券・FP・保険会社・保険代理店の各カテゴリにわたる支援実績があります。金融コンテンツ制作実績は累計1万件以上にのぼります。

消費者金融の広告では、貸金業法第16条・景表法・各媒体の広告ポリシーを一気通貫で理解したうえで稟議資料の設計から実際の運用まで伴走できる体制を整えています。「金融のことをわかっていない代行会社に頼んで業法上の指摘で頓挫した」というリスクなく、消費者金融の広告・SNS運用についてご相談いただける体制を整えています。

まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください!

  • URLをコピーしました!

著者情報

苛原 寛のアバター 苛原 寛 株式会社ファイマケ 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。東京海上日動火災保険で3年間法人営業を担当した後に起業。金融機関のSNS運用代行やWebコンテンツ制作・マーケティング支援を専門におこなう。
制作に携わった金融コンテンツは1万件以上。Xフォロワーは8,000人超。1級ファイナンシャル・プランナーの資格を保有。
著書『選ばれる金融機関になるためのSNS戦略(金融財政事情研究会 出版)』

目次